【十五句抄出】土井探花句集『地球酔』

2023年11月
現代俳句協会

　『地球酔』は土井探花（1976 - ）の第1句集。序文：橋本喜夫、跋文：五十嵐秀彦。

　著者は「雪華」「ASYL」同人、「楽園」会員。

 

 

 

 

 

ほんもののあなたが蝶になり十日

滝白く記憶のうつろから生まれ

壜底のゆるい丘陵竜天に

薊折る鳥を盗んできた人と

秋うらら社食にハラールのメニュー

蛸の血のやうなあをぞら神の旅

廃帝の心地か冬の仙人掌は

ガンジスの濁りを思ふ髪洗ふ

百均のミニ門松の倒れ方

土はほぼほしくづだから朝顔蒔く

孤児院めく朝顔の種集めれば

ハンカチは畳める砂漠なのだらう

背泳ぎの空は壊れてゐる未来

置き配の指定場所だが草いきれ

月氷る一生会はぬ君が好き

 

 

 

※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。