『塔 第十一集』は塔の会の合同句集。
月光に女身を立たせゐる枯野 石嶌 岳
マンボウのやうな唇して昼寝の子 稲田眸子
青大将身よりも細き枝行けり 今瀬一博
少年にうらわかき叔母更衣 上野一孝
棕櫚咲いて礼拝堂に畳の間 菊田一平
銀漢の奥より確と櫂の音 小島 健
鉢底より水の流るる目借時 佐怒賀直美
海峡の潮目ゆたかに木の芽晴 しなだしん
生くるため桜の息を吸ひにけり 鈴木太郎
行く春の畑に一つ椅子がある 寺島ただし
放埓のステンドグラス百閒忌 檜山哲彦
近道も刈られてゐたる墓参り 広渡敬雄
わが喉をあをあをと鯖過ぎゆけり 松尾隆信
鎌倉は紫陽花を剪りはじめけり 望月 周
象の目が亡父に似たり仏生会 安原谿游
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
コメント
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