『隠喩さみしい』は川森基次(1954 - )の第1句集。序文:鳥居真里子、帯文:塩野谷仁。
著者は「遊牧」編集長、「門」会員。
階段で谷中生姜とすれ違ふ
懸崖に山羊美しき神無月
キリル文字とは白鳥のふりかへる
除夜ざわと尾の無き狐ねり歩く
放課後の雨よりもなほ二月のかもめ
桃の花男は化粧念入りに
母眠るころ太郎はパリにかの子の忌
臨時ニュース蝶の翅音にかき消され
蝶舞つて宴はじまる廃墟かな
意味といふ柱状節理四月馬鹿
海ごらん象起ち上る春の雷
君はいつか草入り水晶青あらし
つぶされた苺の恥辱味はひぬ
無花果は隠喩さみしいマルコ伝
前衛は鶏小屋に首突つ込んで
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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