『睦月』は三好康子(1941 - )の第2句集。序文:武藤紀子。
著者は「宙」「円座」「風土」同人。
囀や地図を拡げしボンネット
ほうたるの消えゆく闇のゆたかなる
青蛙変身願望今もなほ
瞑れば花の吉野や西行忌
水打ちてきれいな風の立ちにけり
敗戦忌父の蔵書の附箋追ふ
朝顔市よその手締めに加はりて
哲人めく海星(ひとで)遊子めく海月(くらげ)
艫(とも)に舳(へ)に人につき来る都鳥
江戸古地図たよりに遊ぶ春隣
白妙の破魔矢に託す余生かな
野焼きして昨日と違ふ風の音
回覧板南瓜とともに抱かれ来る
棺の友菊人形となりたまふ
白菜を一壺のごとく立てて置く
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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