『木漏れ人』は原満三寿(1940 - )の第9句集。
著者は「海程」他を経て無所属。
群生海はぐれて往くや木漏れ人
山椒魚(はんざき)と巨木が怖れるおのが影
春泥に溺愛されし土竜の尸
洋梨のくびれにこだわる老いた風
木の芽雨 書斎にねむい鱶と居る
海震(ふ)れて原発狂(ふ)れて雁かえる
春の鼻 見知らぬ青娥が翅やすめ
禿頭を歩いていいんだ冬蠅よ
悪食して日に日に老いは鮮(あた)らしく
菊におうぎっくり腰のぎっくりに
あの世でも冬眠の穴さがすのか
月の街 ヘイトに怯える魑魅魍魎
西風の娘は未生以前から微香せり
木漏れ日の褥でみんな声あげる
魚の道たぐれば濃くなる森の胎
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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