『膚』は岩田奎(1999 - )の第1句集。跋:佐藤郁良。
著者は「群青」所属。
三十三間堂
千手観音どの手が置きし火事ならむ
脊椎はさびしき塔よ大西日
汲めば透く海水の香も春のくれ
卓上に馬肉一塊枯野見え
仕舞ふときスケートの刃に唇映る
日ざかりを乳房は翳りながらくる
清朝に写真がすこし百日紅
くさびらがこはるるまでを雨のふる
入学の体から血を採るといふ
煮るうちに腸詰裂けて春の暮
暮れてきて大きな山や泡般若
芋嵐仏陀のこゑをよく学び
上総 養老渓
鯉の身をひとひら食べて春陰へ
刈りし藍袋の中に饐えはじむ
空豆は薄き二片に分れけり
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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