『移動式の平野』は古田嘉彦(1951 - )の第4句集。
著者は「LOTUS」同人。
なお7句目〈五番線ホームに……〉までの句は全て長い前書が付くが略。
常軌を逸した植物であるところの抱擁
廊下にまで入ってきた川は白夜
宇宙に適さない一切の波型トタン
向かい合う椅子に韮、鱈置いて去る
夜明けが川べりまでついてきて手毬つき
血だらけの五角形の風呂に一日いる
五番線ホームに入線する裸婦例外なく
路面電車ロウソクともすのが切符
バオバブの木からの電話に出れば半透明
二人で蝶を丁寧に踏めば小川に
濡れた布で能舞台包み不整脈
川の中で手術受けたく 真鍮
一歩ごと違うキリンになって訴える
「急性の透明」と日記に
海で薄められた教室何の通り道
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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