10月の読了冊数は異例に少なく、6冊だけである。普段の5分の1程度。
体調が大きく崩れてほぼ寝てばかりになったためである。低血圧とばかり思っていたが、いつのまにか高血圧に転じ、200を超えてしまっていた。
50代前半で病死した親類が複数いるので、私も身辺整理、終活のし時かと思うが、自分の食事の支度も億劫で全く出来なくなり、パンや煎餅をかじってごまかしている体たらくなので、いずれにせよ何も手がつかない。
葛西善蔵『哀しき父 椎の若葉』講談社文芸文庫・1994年
《「生活の破産、人間の破産、そこから僕の芸術生活が始まる」と記した葛西善蔵は、大正末期から昭和初年へかけての純文学の象徴であった。文学の為にはすべてを犠牲にする特異無類の生活態度で、哀愁と飄逸を漂わせた凄絶苛烈な作品を描いた。処女作「哀しき父」、出世作「子をつれて」、絶筆「忌明」のほか「馬糞石」「蠢く者」「湖畔手記」など代表作十五篇。》
収録作品=哀しき父/悪魔/雪おんな/雪おんな(二)/子をつれて/馬糞石/遊動円木/暗い部屋にて/蠢く者/椎の若葉/湖畔手記/死児を産む/われと遊ぶ子/酔狂者の独白/忌明
サガン『乱れたベッド』新潮文庫・1981年
《女優ベアトリスは、内気な年下の美青年エドワールと恋の火遊びをし、別れて五年後、新鋭劇作家として活躍している彼と再会する。ふたりは互いにひかれ合うが、官能的で快楽を罪悪視しない彼女は、浮気をしては彼を苦しめる。高慢で美しく勝ち誇る彼女に、常に従順な彼であったが……。優しさと激情に翻弄されながら、愛を確かめあう恋人たちの姿を描く。『一年ののち』の続編。》
勝目梓『獣たちの熱い眠り』徳間文庫・1981年
《プロテニスの花形プレーヤー三村浩司は一夜の情事のために抜きがたい陥穽にはまり込んだ。三千万円を脅迫され、選手資格は停止された。栄光の世界から泥淳の地獄ヘ――眼には眼を、歯には歯を、プロの恐喝組織を相手に復讐鬼と化した三村の凄絶な死闘が展開する。
長崎から東京へ、ギブ・アップするわけにはいかない男の“存在理由”を賭けて戦う一匹狼を描破する勝目梓の長篇出世作!》
松本清張『十万分の一の偶然』文春文庫・1984年
《“ニュース写真年間最高賞”に輝いたのは東名高速の凄惨な交通事故の写真だった。そのシャッターチャンスは実に“十万分の一の偶然”という評である。だが果してそれは本当に偶然か? 愛する婚約者をこの事故で失った沼井正平の執念の追及が始まる。報道カメラマンの生態を暴いて現代社会にひそむ病根を剔出する傑作推理長篇!》
ベヴィス・ヒリアー『アール・デコ』PARCO出版局・1986年
《1920~30年代、両大戦の狭間、緊迫した世界情勢と社会不安の渦巻く中、ひとつの大衆芸術が大きく花開く。キュビズム、ロシア・バレエ、アメリカ・インディアン美術、東洋エキゾチズムが渾然一体となって、産業・芸術の融合、都市的モダニズムを標榜する断定的現代様式―アール・デコの全貌!》(「BOOK」データベースより)
唐木順三『あづまみちのく』中公文庫・1978年
《常陸から下野へ、会津から陸奥へ、みちのくの仏に惹かれて東国の山野を経めぐる豊かな思索。古代から中世にこの地に生きた人々の心情に深い洞察の眼を注ぎつつ、東西文化の興亡のあわいに歴史の生命を思考する評論集。》
最近のコメント