『アトリエ』は石井洽星(1943 - )の第1句集。序文:藤田直子。
著者は「秋麗」同人。
秋時雨売店の麩を積みなほし
母逝きて円座重ねしまま梅雨に
春の土均しイーゼル立てにけり
失せものの扇子見つかる喪のバッグ
ドアノブの灼けて渚の喫茶店
ビル風にわたしは紙縒秋さびて
をんなやもしれぬ青鬼節分会
噴水や風に赦しを請ふかたち
家中に絵を描きたし冬の濤
百色のクレヨン百色の秋思
姉さびし妹さびし萩の花
梅雨の月空にも湖のあるやうな
風船やいまもどこかにバンクシー
空蝉や別れは人を強くして
まだ夢のつづきを探す歌留多かな
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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