『島中の修羅』は平敷武蕉(1945 - )の第1句集。解説:鈴木光影。
著者は文芸誌「南溟」編集責任者。
夜明けの村一人半鐘打つ老婆
軍命を呑み込んで湧く雲の百態
マジムンを招くしぐさの水字貝 ※マジムン=魔物
羊雲の彼方に裂けたグラジオラス
なきがらを胸に鎮めて大花火
みちのくの瓦礫たどれば沖縄忌
軍機来る向日葵のごと叫ぶ老婆
澄みきった夕日のように金魚逝く
君がいないから岩がアートになる孤島
毒グモを口にぶら下げ「いい正月」
集会に行く男はすでに老いていた
弾痕がくねる城壁の世界遺産
シマバナナ剥けて裂けてヘイトスピーチ
スーパームーン地下の骸骨踊り出す
故郷とは 釜焚く亡母(はは)の姿だけ
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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