『迦陵頻伽』は柏木博(1937 - )の第1句集。序文:小川軽舟。
著者は「鷹」会員。
車より蝮要るかと言はれけり
アウンサンスーチー女史の蚊を打つや
霧動き邪馬台国の見ゆるかな
畦越えて最短距離を鼬逃ぐ
あたたかや先に逝くのを譲り合ひ
囀や少し気取りし子の遺影
それぞれに違ふ方見て春の海
毛虫焼くたぢろがざるを疎みつつ
十五匹ゐる筈なのよ目高の子
隠すべきところを示す水着かな
老人が墓石のごとく月の浜
ゆく道の草に消えけり秋の暮
八月のラッシュアワーの目玉かな
提灯のごとく大きく宵の月
ビニル傘始めうれしき霰かな
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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