『山籟』は平手ふじえ(1956 - )の第1句集。跋文:藤本美和子。
著者は「雪垣」同人、「泉」会員。
火焔土器据ゑし窓辺に夏兆す
ちちははへ大籠満たす葡萄狩
毛布干す髪一本も父のもの
水桶の青菜ほぐるる淑気かな
円墳の十方に春動きゐる
金山の地底見し眼に青芒
冬近し滝の骨格見えて来し
ひと雨に夜寒や津軽あいや節
旅癖の北へ北へと年暮るる
アンモナイト見し夜にはかに秋寒し
山国に鯨の化石青あらし
切支丹灯籠に棲む冬の蜘蛛
笛吹川(ふえふき)のはがねの張りも冬のこゑ
柚子湯出てものわかり良くなりにけり
明易き潮染む町の醤油の香
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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