『巡る』は伊藤春静(1957 - )の第1句集。序文:河内静魚、跋文:滝本結女。
著者は「毬」編集長。
空瓶をペンで叩けば春の暮
蟋蟀のちよつと霊柩車のかたち
輪唱のやうに数の子嚙む二人
金融街をひとつに溶かす大夕焼
正確な遠近法や夏館
湖心へと差し込む光秋の声
青空に包まれてをり冬の午後
母施設入居 二句 から
花菫母一心に父探す
サイフォンをごぼりと昇る水も春
鳥たちの空飛ぶ不思議夕時雨
鮫の目に追はれてゐたり水族館
団地には踊り場並び春夕焼
入口のやさしくありぬ春の山
公園のドラム缶から夏の雲
北風や動き出せない遊具たち
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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