寄贈頂いた句集をブログに上げる余裕がないのですが、全部拝読はしています。
中村真一郎『江戸漢詩 古典を読む20』岩波書店・1985年
《漢詩文を愛読する著者が,自然,都市生活,家庭,愛欲,女流,海外などのテーマのもとに,江戸後期の作品から選びその世界を散策する.一句一句が詩人たちの肉声を聴くが如く響きはじめ,自由で豊かな精神が開けてゆく.》
柴田翔『われら戦友たち』文春文庫・1976年
《鶴木公吉は大学で美術史を研究する助手である。女子学生三木公子からダンス・パーティ券を売りつけられた彼は、196X年6月13日、その会場をのぞいてみた――推理的手法を駆使して時代に翻弄されながらも、真剣に“生”を模索する学生活動家群像の青春の軌跡。「されど われらが日々――」に続く意欲長篇 解説・竹内泰宏》
眉村卓『おしゃべり迷路』角川文庫・1981年
《さぁさぁ今から始まりまするのは、愉快・痛快・奇々怪々。変で不思議でケッタイな話。
イジキタナク食べる話
ウサンクサイとはどういう意味?
ロマンチックな徹夜のお話
ひとつの話が始まれば、あっちへ翔んだり、こっちへ跳ねたり、どこで終わるか予想もできない……。どう転んでも、貴重で乏しいあなたの読書時間を楽しませずにはおかない!
さあ、あなたもクマゴローこと眉村卓の、真面目で不真面目な、そして知的センス溢れるおしゃべりに耳を傾けてみましょう。》
ディクスン・カー『皇帝のかぎ煙草入れ』創元推理文庫・1978年
《向かいの家で、婚約者の父親が殺されるのを寝室の窓から目撃した女性。だが、彼女の部屋には前夫が忍びこんでいたので、容疑者にされた彼女は身の証を立てることができなかった。絶体絶命、物理的には完全な状況証拠がそろってしまっているのだ。「このトリックには、さすがのわたしも脱帽する」とアガサ・クリスチィを驚嘆せしめた不朽の本格編。》
柴田翔『新潮現代文学71 されど われらが日々――・鳥の影』新潮社・1979年
《青春と愛のゆくえを抒情的に糾明する柴田翔の知的世界の全貌。至純な「ロクタル管の話」等全七編。》
収録作品=されど われらが日々――/立ち盡す明日/ロクタル管の話/贈る言葉/鳥の影/彼方の声/食堂の話
檜垣立哉『ドゥルーズ入門』ちくま新書・2009年
《没後十年以上の時を経て、その思想の意義がさらに重みを増す哲学者ドゥルーズ。しかし、そのテクストは必ずしも読みやすいとはいいがたい。本書は、ドゥルーズの哲学史的な位置付けと、その思想的変遷を丁寧に追いながら、『差異と反復』『意味の論理学』の二大主著を中心にその豊かなイマージュと明晰な論理を読み解く。ドゥルーズを読むすべての人の羅針盤となる決定的入門書。》
五味川純平『孤独の賭け 第一部』角川文庫・1972年
《「あたしの体を200万円の担保と考えていただきたいの」――百子は、夜の盛り場で知った少壮のキャバレー経営者千種に云った。縫子として働く洋裁店“ポヌール”買い取りの不敵な野心が、彼女の胸にきざしていた。
すぐれた才気と体を武器に社会への復讐を図る一女性の、孤独な賭けと戦いを描き、色と欲につかれた、現代社会のすさまじい人間模様を浮彫りにする、力作長篇第一部。》
五味川純平『孤独の賭け 第二部』角川文庫・1972年
《百子と千種は、互いの肉体と才知と行動力に、深く惹かれた。
千種の援助で、叔父一家の住む土地と家屋を買い取り、かつての冷酷な仕打ちへの復讐を果した百子は、さらに、洋裁店、バー両「ボヌール」マダムの地位を約束された。
輝かしい未来の扉が、今、彼女の前に開かれようとしていた。……長篇第二部。》
五味川純平『孤独の賭け 第三部』角川文庫・1973年
《運命の神は、百子に徴笑み、千種に無情だった。
全国デザイナー作品コンテストで、ある華麗なスタンドプレイを演じた百子は、ファッション界の新星として脚光を浴びた。が、冷い雨の降る冬の夜、彼女の元を訪れた千種は、150万円の工面を百子に頼んだ。
彼女の体の中で、その時、ある何かが、音をたてて砕け落ちた。……
二つの、孤独な賭けの明暗を描く完結篇。》
藤澤清造『根津権現裏』新潮文庫・2011年
《根津権現近くの下宿に住まう雑誌記者の私は、恋人も出来ず、長患いの骨髄炎を治す金もない自らの不遇に、恨みを募らす毎日だ。そんな私に届いた同郷の友人岡田徳次郎急死の報。互いの困窮を知る岡田は、念願かない女中との交際を始めたばかりだったのだが──。貧困に自由を奪われる、大正期の上京青年の夢と失墜を描く、短くも凄絶な生涯を送った私小説家の代表作。解説・西村賢太。》
J・ポトツキ『世界幻想文学大系19 サラゴサ手稿』国書刊行会・1980年
《民俗学・歴史学の碩学であったポーランドの大貴族による、『千夜一夜物語』の如く多彩に、『デカメロン』の如く妖しく展開される回教徒の姉妹と一人の男のエロスとオカルトに満ちた長編枠物語。戦後ロジェ・カイヨワによって再発見された世紀の奇書!》
今日出海『吉田茂』中公文庫・1983年
《戦後混乱の時代に首相となって、新しい日本を作りあげたワンマン宰相吉田茂のすがすがしくまた愛すべき人間像のすべてを、心ゆるしたつき合いと作家の眼を通してあざやかに描く。》
収録作品=レモン月夜の宇宙船/ラプラスの鬼/ステファン・ラドクリフの薔薇/真っ赤な雨靴/東京未来計画/OH! WHEN THE MARTIAINS GO MARCHIN' IN/五号回線始末記/学術研究助成金
収録作品=スポーツカー/三菱の亡霊/謎の山岳コース/五郎のサスペンション/メルセデスがレースに復帰するとき/巨星おちる日/ニュルブルクリンクに陽は落ちて/ムーン・バギー/自動操縦車時代/ル・マン一九五五/死のレース/馬は目ざめる/オリムポスの神々
収録作品=高い音低い音/夢見る宇宙人/天使の星/解けない方程式/画像文明/銀河を呼ぶ声
収録作品=ハイウェイ惑星/安定惑星/空洞惑星/バイナリー惑星/イリュージョン惑星
収録作品=コンピューター惑星/システム化惑星/エラスティック惑星/ストラルドブラグ惑星/パラサイト惑星/愛情惑星
イルダ・イルスト『猥褻なD夫人』現代思潮新社・2017年
《ブラジル前衛女性作家の代表作を四方田犬彦氏が本邦初訳!
百匹の犬とともに、ブラジルの森深く隠棲する作家イルダ・イルスト。
バタイユに耽溺し、数々の文学賞を受賞し、論理哲学を極める知性。
狂気・ポエジー・霊性・死……ラテンアメリカの深淵なる神秘!
「わたしの犬の目で」を併載。
2003年には20巻の全集が刊行された。仏、伊、独、英語に翻訳され作品集が何冊も刊行されている。たが、日本語になったものは皆無である。》
保坂和志『ハレルヤ』新潮社・2018年
《キャウ! 一九九九年に作家夫婦の家にやってきた片目の猫、花ちゃんは、十八年八ケ月を生きて、旅立った。死は悲しみだけの出来事ではないと、花ちゃんは教えた(「ハレルヤ」)。死んだ友だちの葬儀で、彼と過ごした時間の歓びに満たされる川端賞受賞作「こことよそ」を併録。心が激しく動いたことが書かれた四つの短篇。》
収録作品=ハレルヤ/十三夜のコインランドリー/こことよそ/生きる歓び
ジョルジュ・シムノン『メグレと口の固い証人たち』河出文庫・1983年
《古いのれんを細々と守るビスケット屋ラショーム家の当主が、深夜、自室で胸を撃たれて死んだ。庭に梯子、窓に梯子を立てかけた跡、割れた窓ガラス。状況は外部からの侵入者の犯行を物語っていたが、家族は誰も朝まで気づかなかったと主張し、それ以上訊きだそうとすると、奇妙に口をつぐんでしまう。メグレはそこにただならぬものを感じた。家族が一致して何を守るうとしているのか?……》
収録作品=霊夢/離れて遠き/記憶喪失ならこわくない/ドアを開けば/空の記憶/よみがえる/戦争体験/決定的瞬間/あれ/可愛い女/既視感/灰だらけ/あやつり人形/三人は還った
石原藤夫『宇宙船オロモルフ号の冒険』ハヤカワ文庫・1984年
《1999年7月、天界の涯から邪悪な力が地球を襲う。おそるべき強力なエネルギーとエントロピーの拡がり、宇宙の正則性そのものを崩壊させる“破滅の死者″に対し、いま敢然と立ち向う一個の飛翔体があった。――宇宙船『オロモルフ号』、それは南極大陸を抉りとり、地球文明の粋を集めて建造された巨大宇宙船。乗員はロボット、アンドロイド、人間からなり、第一級のスペシャリスト3000人を擁する総員10万人。その一人、考古数学者のジロウ・コイズミは巨大組織内部の軋轢を克服しつつ、知力をつくして地球文明の正則性を脅かす敵に挑むのだった!》
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。