2021年9月
文學の森
『肥後の城』は永田満徳(1954 - )の第2句集。
著者は「秋麗」同人。
冬籠あれこれ繋ぐコンセント
薄氷の縁よりひかり溶けてゆく
新緑や湯に流したる地震の垢
夏蒲団地震の伝はる背骨かな
秋風や片手を挙ぐる師の遺影
どら焼きの一個をあます暮春かな
蛇の滑り泳ぎとなりにけり
母校とはただ炎天のグラウンド
ストーブを消して他人のごとき部屋
立秋やどの神となく手を合はす
マーラーのホルンに浸る夜長かな
どんぐりの落ちしばかりの光かな
身一つもて元気と出水の故郷より
むごかぞと兄の一言梅雨出水
寒日和窓てふ窓に阿蘇五岳
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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