『百花控帖』は林桂(1953 - )の第9句集。
著者は「鬣」代表同人。
以下、原文は総ルビ。
花薄巨石は神となりにけり
男郎花錆びて匂へる父の鉈
空の彼方に海あるひかり曼珠沙華
南蛮煙管を誰にも言へぬ日暮かな
臘梅や母の忌近づきつつ遠し
菜の花に身体明るくして戻る
紫雲英田へ前方回転しにゆかむ
花楓餡麺麭を喰ふベンチかな
寂しがる朝の兎よ著莪の花
薔薇を愛す力石徹のごとく瘦せ
梅花卯木に花むぐりゐる水の星
山法師山脈(やまなみ)の藍射しにけり
泰山木の蔭に翳りて仰ぎゐる
月下美人へ兄呼んでくる弟よ
夏椿薄明薄暮を姉とゐる
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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