『トマトの花』は成田一子(1970 - )の第1句集。栞文:辻桃子、高野ムツオ。
著者は「滝」主宰。
蟹穴を北半球の独語とも
セラピーの一環として蛇を飼ふ
姫蜘蛛を風に返して処女を捨つ
たはむれに友とするキス冬旱
春の沼ジャムパン袋ごと浮かぶ
口紅は革命の赤五月来ぬ
楽園を追はれたる日の裸かな
あつけなく受胎してをりかき氷
裸子のひとりは猿になりたがる
かなかなや子供靴より砂無限
八月をビッグマックの潰し食ひ
葛湯飲むちくま文庫のやうな人
ゲルニカの牛の貌めく嚔まへ
梨透くや暗黒舞踏家の最期
百日の堕落はじまる炬燵かな
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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