『鬼と踊る』は三田三郎(1990 - )の第2歌集。解説:山田航。
著者は「ぱんたれい」「西瓜」同人。
土下座にも耐えられるはず全身で地球を愛撫すると思えば
分かりたい人の気持ちは分からずに殺人鬼の手記など読んでいる
ワイドショーを気が狂うまで観たあとの西日は少し誠実すぎた
君たちはまだ知らないか背負い投げされたときだけ見える景色を
第一に中島みゆきが存在し世界はその注釈に過ぎない
キッチンでうどんを茹でている人にドロップキックをしてはいけない
乗客が見つめているスマートフォンの画面がみな真っ黒だったらなあ
言い訳のような広場がビル街にできるたび悲しゅうて悔しゅうて
捨てられるための資料を作ったら怒鳴られるための電話をかける
爆発した同期のお陰でぐにゃぐにゃのブラインド越しに見える満月
右の靴が脱げて路上に立ち尽くす 履き直そうか 左も脱ごうか
なぜここは歯医者ばかりになったのと母は焦土を歩くみたいに
床屋から逃げた鏡は取り調べに「海を映してみたかった」などと
疲れたと言うことにさえ疲れたら結果的には寡黙な男
石を投げ鬼と一緒に踊るから賽の河原にレゲエを流せ
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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