『木星は遠すぎる』は森さかえ(1949 - )の第3句集。
著者は「天籟通信」「連衆」「ロマネコンティ」同人。
美しく脚を上げれば鳥帰る
日向には死者の如きが囀りぬ
飛花落花目と目が合へばそらしけり
生前のあなたとゐれば涼しさよ
たましひのところどころに夏の雲
滅びると三べんいへば心太
うつすらと蛸の記憶にふれてみる
色つきの夢やそろそろ蛇の出て
夕顔にこの世の顔もまざりけり
あぢさゐの足音だけがのこりけり
木星は遠くて冬がきてしまふ
月光のとどかぬ部屋に眠りをり
秋遍路ときどきまじる鳥人間
ああなんと大きな耳の枯野かな
愛人のメタファーとしてせみくじら
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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