『無音の火』は大河原真青(1950 - )の第1句集。序文:高野ムツオ。
著者は「桔槹」「小熊座」同人。
バリ島 四句 より
ケチャの手の空撫でまはす熱帯夜
空蝉をあふれてけふの波の音
鰭酒の青い火走る夜の雨
螢の夜おのが未来に泣く赤子
砂紋またかたちを変へる慰霊の日
彗星にふるさとのあり芋の露
土門拳の黒は底なし返り花
遠野火や足の裏より土の息
屯してをんなら大漁旗が日除
光り出す孤食の卓の風信子
どんぶりにきんぴらを盛り宵祭
円描いてはじまる遊びこぼれ萩
空母出て大きな余白霾ぐもり
生まれたての雲の近づくラ・フランス
飯館をいたはる夜の鰯雲
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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