『からだから』は藤原暢子(1978 - )の第1句集。序文:飯田晴、跋文:大塚太夫。
著者は「雲」同人。
傾きがその人である夏帽子
ががんぼの流れてしまふドライヤー
配る手の喜んでゐるさくらんぼ
緑蔭を人は点滅してゆけり
水無月に進化を止めた貝を置く
蟻の乗る列車は千葉へ向かひけり
駅ひとつ緑雨の島となりにけり
草蜉蝣交みし森の暗さかな
蝙蝠に操る糸の見えさうな
高きより船を数ふる秋彼岸
枯菊に日のまぶしさの移りけり
てふてふの翅無き頃をなつかしむ
田螺鳴く一人足りない世に慣れて
春服の体の空へ近づきぬ
晴れてゐて風船を持つ僧侶たち
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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