『炎』は石井英彦(1932 - 2020)の句文集。序文:対馬康子。
著者は「麦」同人。
白い電車が梅雨の山へと入ってゆく
罠の予感寒い電車のドア閉まる
背景は氷沼業のごと髭を剃る
シンプルな朝顔となり機械たち
響くほどかがやくグラス遠雪嶺
人を焼くひびきのままの七変化
熊穴に入る地の涯に雲伏せて
特攻隊員もっこりとうがんのようだった
何か見えて何かが見えず鶴は翔ぶ
風花の刹那失神する都会
人が人に逢えるしあわせ原爆忌
春逝く妻吾より良い人間なのに
妻の死も津波もうつつ四月馬鹿
黒い梅雨白い梅雨透明な妻
月に水有り地球に水爆鯉のぼり
※本書は版元より寄贈を受けました。記して感謝します。
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