『百囀』は大石悦子(1938 - )の第6句集。
著者は「鶴」「紫微」同人。
若水や天の真名井をあふれきし
蹤いて来る犬遠ざけて蝉氷
長門市青海島向岸寺「有情」の銘の鯨墓あり
有情とは鯨の胎子花樒
桃に肘濡らしていまが晩年か
のぼりきし冬のオリオンしたたりぬ
芒原おほとりの影よぎりけり
唄うたふ田螺もをるぞ海石榴市は
老人が夜更したる虎鶫
鶴繍ひし春着の躾糸を抜く
一月一日 兄高橋良雄 七十九歳
絶景や兄のゆきたる初山河
水無月の黒楽に白湯いただきぬ
枇杷の花遺影に午後の日が差して
暦果つ仏となりし兄妹
本売つて知性おとろふ滑莧
みちのくや冬の大三角を掲げ
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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