『旅の靴』は浪江啓子(1946 - )の第1句集。
著者は「りいの」同人。
モスクワへ荷を固結び桃の花
プラウダで包みてくれしカーネーション
八月クーデター
戦車ゐるモスクワ川の八重葎
リユツク背にたんぽぽの野を神父かな
モスクワをうすくれなゐに寒夕焼
草刈女あたりにひびく口喧嘩
音もなくレーニン通りの火事終る
色々のペンスで払ひ青りんご
はにかみて少年の言ふ茸の値
ドラキユラの城へ山道すみれ草
枝豆の塩うつくしき日本かな
窓の灯の流れ星より暗きかな
夜半の蝉霞ヶ関に鳴き止まず
急ぐほどくちなはの身のくねりかな
おほかたの茸は採らず茸狩
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。