『花鳥の賦』は海野弘子(1935 - )の第2句集。帯文:長嶺千晶、跋文:朝吹英和。
著者は「晶」同人。
埋め立てて海の遠のき春寒し
子は遠き痛みに似たり薄氷
胃カメラの明るき奥を亀鳴けり
木の根開くボルト入りたる大腿部
東京にタワーとツリー放卵期
水打ちて沈むがごとし苔の庭
蝉の穴いたるところに活断層
向日葵や人は異形の影を持ち
ゼブラゾーン灼けて喪服のゆらぎくる
絵に画きて患部告げらる稲つるび
漁の黒く傾く秋夕焼
蟋蟀や容老いたるコンサイス
夫の軀は古書の匂ひや漱石忌
舷の叩き具合や葱鮪鍋
かはたれの恋の歌留多を猫が踏み
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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