『朱欒ともして』は皆川燈(1951 - )の第2句集。
著者は「らん」参加。
我を待つ板間は秋の草づくし
こおろぎは壺に飼われて天安門
ソラリスのわが家へつづく遍路道
冬麗をたぐりよせれば妹
夕暮の水なら手足生れやすき
本を愛し心霊写真におののきぬあなたはいつも少年だった
きさらぎへさらさらと骨こぼしおり
しっとりと指にはりつく蛇の衣
潮騒に三線まじる流謫かな
シャワー熱し神かとおもう巨大蜘蛛
眠りいても涼しき声の届きけり
南天の実が大好きだった小鳥のとき
少女A茅の輪くぐれば光りだす
人体のおぼろは絹糸で綴じよ
たった一つの花文字探す旅なのか
もう二度と山には棲めぬだがしかしサザンテラスの杉の香りが
いなびかり突き刺す遠野ものがたり
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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