『不存在証明』は佐藤日田路(1953 - )の第1句集。跋文:林誠司。
著者は「亜流里」「海光」会員。
しゅるしゅると母出奔す蛇の衣
サーカスの転校生と桜餅
木の骨や蟷螂の子の溢れ出す
上あごに海苔がくっつくだれか死ぬ
脳味噌をざぶざぶ洗う春キャベツ
四姉妹みな寡婦となる雛あられ
口づけのあと草餅を平らげる
湯灌(ゆかん)して桜は桜へと凭れ
象洗う男ありけり聖五月
屈葬のごとく午睡の姉妹
作る人いつか乗る人茄子の馬
鵙の贄ひとりに一つずつ脳(なずき)
城一つくれてやろうか鰯雲
鳥の目の色になるまで葡萄食ぶ
心臓に手足が生えて阿波踊
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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