『出雲、うちなるトポスⅡ』は森田廣(1926 - )の2冊目の句画集。
著者は現代俳句協会名誉会員、自由美術協会会員。
野薊のさやぐや遠い海の鬱
このめあめ紺屋錻力屋唐傘屋
天涯の五月を斧で伐り出せり
葉桜やいずこも水のこぼれおり
睡い眼の羽抜鶏たち巨船着く
かりがねや魔性はるけく母在(おわ)す
毬栗のころがる先へ人消ゆる
ねがわくは旅の果てなる銀河葬
白桃や海の眩暈のおさまれり
八雲立つよびあうこえや海胆・鮑
指切りげんまん媼は海市へ帰りけり
沢蟹に取り込まれたる老漢(おとこ)かな
素裸で星を摑むはかなしけれ
かつて大八車(だいはち)に晴着のような冬晴れがあった
船火事は尽きけり人が燃えはじむ
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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