堺利彦監修『石部明の川柳と挑発』は石部明(1939 - 2012)の作品、言説の抄出をまとめたもの。
川底にうすい布団を敷く女
球状のもの落下する誕生日
仏壇の中をきれいに拭いておく
見たことのない猫がいる枕元
神の声してぼうぼうと藁を燃やす
湖へ父の洩瓶をとりにゆく
打楽器の一個ふらふら渚まで
濁流を見ている妻のそばにいる
声を出す玩具朝まで声を出す
栓抜きを探しにいって帰らない
ボクシングジムへ卵を生みにゆく
老人はみな鶏つれてくる白夜
夕ごはんまでは確かに野であった
神さまといういやらしいそり具合
戦争が始まるみんな耳を持ち
※本書は編者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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