「夢椿」(発行:洛南高校俳句創作部)第9号(2019年8月)から。
以下、部員1句ずつ。
スーツより雨の匂ひて半仙戯 井口葉子
母校へは躑躅の蜜を吸ふために 弓
電線を水のつたひて冬茜 中野葵
青嵐付箋で辞書を埋めつくす 谷口卓也
シーソーの調和乱れて花吹雪 数井稜二郎
逃水を家族で追つてはぐれをり 鈴木奏大
ラムネ瓶深き儚き音のする 山上莉央
祭笛ぽつんとノート開きおり 川田美紀
以下、OB、OG。
甚平のポケット電子タバコ重い 黒岩徳将
むらさきのいろを失ひ蝉生る 大西遼
日傘閉じても飛行機のおちてゆく 細村星一郎
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以下は同じく洛南高校俳句創作部発行の「立志」(2019年10月)から。
こちらは文化祭に合わせて発行されるものらしい。
季語クロスワードパズルのページなどもある。
「夢椿」と2ヶ月しか差がないためか、句の重複も少なくないのでそれ以外から。
朝焼けは雪を溶かさず伊吹山 竹内優(竹節虫優)
鞦韆や北斗七星連れてきて 谷口卓也
新月や無言でゐてもいい時間 奥井健太
平仮名は丸みを帯びて冬ぬくし 諸石光潤
霧雨や謝ればまた許す母 堀畑直希
曇天を引き裂くように鮭上る 鈴木奏大
三人と二人は違ふ秋薔薇 中野葵
玉葱の断面理屈くさくなる 古勝敦子
前髪を切るか切らぬか女郎花 小林さゆり
秋雨やノートに翻車魚瞬きぬ 川田美紀
鈍行や次は金木犀の駅 山上莉央
寝冷えして今日は一日トイレの精 山田健暁
雑踏に己消えたる渡り鳥 釜江康太
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