『鶏頭』は岸本マチ子(1934 - )の第7句集。
著者は「WA」代表。
六月の地軸はことに軋みおり
かやつり草何故かここから出られない
晩夏光まだ変身の途中です
凍蝶はまっくらがりの音がする
冬ざれて哲学している鍵の束
さみしさの前後左右を春という
春惜しむわたしの中にも駅がある
軍港に鬼火のようなものがいて
飛花落花ツタンカーメンの巨大な眼
秋夕焼「まて」の姿勢の犬がいて
枯蓮 即身仏というきらめき
ぞうり虫も眼をあけて見よ鰯雲
首里城にジュラ紀の春愁まぎれこむ
黙示録すっぽり入った蛍袋
まるでシャガール大黄落の中をゆく
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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