『国東から』は後藤秀治(1951 - )の第1句集。300部限定。
著者は「円錐」同人。
花海桐(とべら)遍路は波に酔ふことも
三月の山は鳥語の無尽蔵
井戸水が甘いと思ふ金木犀
朝涼のひとときなれば子の熟睡(うまい)
ひろびろとにはとり遊べ良寛忌
桜鯛一匹釣らせ海暮れぬ
雨を得て蠢くものに牡丹の芽
かうばしき切干日和猫帰る
山水の庭おもしろく冬の雲
校庭を来る古傘で母が来る
陽に練れて水は重たし蝌蚪に足
鯉の尾をわづかに揺する春の雨
毛虫ゆく毛並みを風になびかせて
どの木にも蟻走りをる夜明けかな
帰省子のトランペットを吹く時間
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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