『未知の国』は山﨑十生(1947 - )の第10句集(番外句集を合わせると14冊目)。
著者は「紫」主宰。
完璧な霞が原子炉を囲む
未知の苦の角組む葦が生む水輪
取り敢へず瓦礫銀座に風車
それぞれに貌のありけりシャボン玉
盗汗まだ続く限りは生きている
衣紋竹だけ吊されてありし部屋
日本忌近し最中のなかに餡
そして百物語水が欲しい
赤べこがこんなところに草いきれ
白露に溺れてゐたるムンクかな
歩かねば浄化されざり風は秋
被爆地の色なき風のおもてなし
ドライアイス重過ぎませんか白菊
水澄んで私の居場所なくなった
冬銀河この上もなき砂時計
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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