『剥製師』は高岡修(1948 - )の第7句集。
著者は「形象」主幹、詩誌「歴程」同人。
死にゆくを倦み花吹雪き眠たげな
火葬されし子の燠に似て遠い野火
影踏みの影きらきらと逃げまわる
炉心棒溶けるがごとく蝸牛
共に焼く大はまぐりの蜃気楼
標本瓶春夕焼けも腑分けされ
キノコ雲の菌糸びっしり国家論
爆心地水の動悸が木を登る
白虹の繃帯で巻く原爆ドーム
自爆テロしろと言うのか立葵
殺意たりしよカンブリア紀の眼の萌芽
アンモナイト渦巻きけぶる夢の跡
日だまりが死海文書を読んでいる
ミラーボール氷湖の匿し持つ色を
ビルのあいだの縊死する空のための縄
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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