『山法師』は松林尚志(1930 - )の第3句集。
著者は「木魂」代表、「海原」同人。
暖かさうなマダム羊が初夢に
理髪師に転がさるる首冷房に
白き夢白きイルカも来てゐたり
ケータイにある小さき窓春時雨
胴体がずんずん進む夏の川
校庭は声のごつた煮立葵
夏萩や尊氏蟄居せし古刹
一蓮華一赤子なり緑浄土
オランウータンしよんぼり枯草むしりをり
ビルの間にスカイツリーは海市なり
ステンドグラス古りし茶房や梟ゐて
慶應病院に金子兜太さんを見舞う 二句 より
ベッドの兜太と一期のシャッター冴えて鳴る
幻獣辞典ボルヘスにあり冬銀河
磯に踏む牡蠣殻昆布霞む富士
暗黒舞踏といふ戦後あり蝕の月
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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