何も読めない日もかなり多かったものの、新宿駅西口や池袋西武の古本市で買い込んだものを少しずつ消化。光瀬龍『かれら星雲より』などは本の存在自体知らなかった。装幀は金森達。
堤未果『日本が売られる』は半年以上前に買ったものだが、参院選前にやっと通読。
絵本2冊『だるまさんの』『おしりたんてい』は歯医者の待合室で読んだもの。
『熊野概論―熊野、魂の系譜Ⅱ』は大分前に著者から頂いていたもの。記して感謝します。
かがくいひろし『だるまさんの』ブロンズ新社・2008年
《「だ・る・ま・さ・ん・の」めがねをかけただるまさんが登場。ページをめくると、あっとおどろく展開に! 大人気のだるまさん、こんどは何を見せてくれるかな? わらいがはじけるファーストブック、話題の「だるまさん」シリーズ第2弾です。》
高橋たか子『失われた絵』河出文庫・1981年
《男のなかの蛇と女のなかの蛇とが、縺れあい絡みあう。二つは一つになって、性の無限級数を昇りはじめる。その極限には何かあるのだろう。私は神を思う――したたかに快楽を享受する奔放な女主人公。彼女をめぐるマザー・コンプレックスの独身青年と強靭な中年男。三人の照応が織リなす女性心理の内奥を大胆に描き、めくるめく性の形而上学を展開して注目された著者の記念碑的秀作他二篇。》
収録作品=失われた絵/白い光/夏の淵
丸谷才一・山崎正和『見わたせば柳さくら』中公文庫・1992年
《日本人が古代以来表現してきたものは現在どういう形になっているのか。歌会始、相撲、歌舞伎などの伝統的表現から現代の映像、都市に至るまでを俯瞰して、共通の型を探求する。西欧近代の影響下で歪められた日本文化論を、伝統という視点で照らして正す、知的対談。》
柳田国男『こども風土記・母の手毬歌』岩波文庫・1976年
《日本の各地に伝わる子供の遊びの種々相とその背後に潜むものを書きとめた短文集『こども風土記』。「社会と人生とを周囲の書物の間から、覚えてゆくような路を開きたい」と願って書かれた『母の手毬歌』。文化残留の担い手としての子供たちを見つめる柳田の優しいまなざしが行間からほのぼのと感取される。(解説 益田勝実)》
辻邦生『嵯峨野明月記』中公文庫・1990年
《〈嵯峨本〉は、開版者角倉素庵の創意により、琳派の能書家本阿弥光悦と名高い絵師俵屋宗達の工夫が凝らされた、わが国の書巻史上燦然と輝く豪華本である。
十七世紀、豊臣氏の壊滅から徳川幕府が政権をかためる慶長・元和の時代。変転きわまりない戦国の世の対極として、永遠の美を求めて〈嵯峨本〉作成にかけた光悦・宗達・素庵の献身と情熱と執念。芸術の永遠性を描く、壮大な歴史長篇。》
五来重『善光寺まいり』平凡社・1988年
《年間600万人の参詣者を誇り、全国には同名を冠する200以上の寺を擁する善光寺。地方の一寺院が、このような広い信仰を集める謎の解明を通じて、日本人の宗教の本質をなす庶民信仰を明らかにする。》
ハンス・エーリヒ・ノサック『わかってるわ』河出書房新社・1977年
《瀕死の娼婦マリーのモノローグによって強烈に浮かびあがる暗い虚無の現実世界》
光瀬龍『あいつらの悲歌』光文社・1981年
《“UFOは存在するのか!?”雑誌編集者矢上貢は、UFOに乗ったという老人の取材を命じられ内心ウンザリ。おまけに怪しげな老人の話は“宇宙人が地球を滅ぼす”という荒唐無稽さ。だが、そのころから各地で頻々と起き始めた酸欠死。現場には不思議な“地衣類”が発見され、遂にUFOの巨大な姿が眼前に! 光瀬SFの真骨頂!》
谷口智行『熊野概論―熊野、魂の系譜Ⅱ』書肆アルス・2018年
《近代が作り上げた虚像を脱し、太古から培った日本人の自然観・感性・知性を描き出す。隠国熊野から掘り起こす根源の日本考。》(「BOOK」データベースより)
光瀬龍『かれら星雲より』トクマ・ノベルズ・1981年
《太陽系宇宙に怪現象が!
遭難した漂流船《ヘルモンティス5》を曳航中の遠航曳船《オリオン10》は奇妙な交信を傍受した。同じ頃、観測船《ラス・アルゲチ》も《ヘルモンティス5》を発見したというのだ。同じ宇宙船が二隻に!? 次席宙航士ハンは仲間のアブドリ、セイシと共に調査を開始する。その結果、一方の船は決定的な欠陥を持ち、実用にならないことが判明した。では誰が何の目的で……。
その頃ハンの親友フサの乗る観測船《カサンドラ・プラス・ワン》でも異状が発生した。乗組員と同じ姿の偽物が現れたのだ!》
堤未果『日本が売られる』幻冬舎新書・2018年
《水と安全はタダ同然、医療と介護は世界トップ。そんな日本に今、とんでもない魔の手が伸びているのを知っているだろうか? 法律が次々と変えられ、米国や中国、EUなどのハゲタカどもが、我々の資産を買いあさっている。水や米、海や森や農地、国民皆保険に公教育に食の安全に個人情報など、日本が誇る貴重な資産に値札がつけられ、叩き売りされているのだ。マスコミが報道しない衝撃の舞台裏と反撃の戦略を、気鋭の国際ジャーナリストが、緻密な現場取材と膨大な資料をもとに暴き出す!》
加納一朗『ホック氏の異郷の冒険』角川文庫・1983年(日本推理作家協会賞)
《この原稿の内容は一つの犯罪譚であり、私の曾祖父・榎元信がひとりのイギリス人と協力して事件の解決に奔走する話である。これが“手記”であるか“小説”であるかは、読んだ方の判断に委せたいと思う。
――建てられてからもう80年以上は経っている私の家の蔵から、不思議なことが書かれた原稿が発見された。それには、明治新政府がようやくひとり歩きをはじめたころ、要人・陸奥宗光をまきこんだ機密漏洩事件とそれにまつわる殺人事件の解決に、謎のイギリス人“S・ホック”氏が深くかかわっていたらしいことが書かれていた。奇々怪々な事件の背後を問うまえに、いったい、このイギリス人は誰だったのか、いまだに謎のままである。傑作本格長編ミステリー。》
トロル『おしりたんてい』ポプラ社・2012年
《「フーム、においますね」
見た目も、推理もエクセレント! 涼しい顔して、真実に迫る、あたらしい名探偵の登場です。
こんどの 依頼は、おかしな おかしの事件。さっそく 現場に かけつける おしりたんていの前にかさなりあう 謎の数々。いったい、犯人はだれ?
おしりたんていと いっしょに、お話を読み進めながら、めいろや絵探しをして真実にせまる 謎解き絵本です。》
J・S・レ・ファニュ『ゴールデン・フライヤーズ奇談』福武文庫・1990年
《ゴールデン・フライヤーズと呼ばれる美しい湖畔の村で起こった世にも奇径な事件。名門マーダイクス家とフェルトラム家の因縁めいた争いと悲劇的な結末。――『月長石』のウィルキー・コリンズとともに当代随一の人気作家であったレ・ファニュの幻の名作怪奇小説。本邦初訳。》
ジョン・ウィンダム『呪われた村』ハヤカワ文庫・1978年
《9月26日、月曜日。ロンドンにほど近い小村ミドウィッチの夜は、常と変わりなく、静かに更けつつあった。だが10時17分、村のほぼ中央に、白く輝く円盤状の未確認飛行物体が着陸するや、これを中心とする半径一マイルの地域のあらゆる生物を眠らせてしまった。急遽出動した軍隊もなすすべを知らず24時間を過したころ、円盤はふたたび何処ともなく姿を消した。住民はすべて無事。村は何事もなかったかのようだったが、やがて……村に住むあらゆる受胎可能の女――17歳から45歳までの女性全員が、妊娠していたのだ! イギリスSF界の重鎮ウィンダムが描く戦慄と恐怖の異色作。》
赤川次郎『一日だけの殺し屋』角川文庫・1981年
《「もしもし、奴が来るんです。あの〈踊り屋〉が、今日の午後、羽田に…」
〈踊り屋〉とはダンディーな一匹狼の殺し屋だ。警察にも、その〈踊り屋〉という通称以外のデーターは何一つ与えていない用心深い性格。しかしその彼も、自分が乗る筈の飛行機に、瓜二つの男性が乗っていたとは知る由もなかった。〈踊り屋〉を迎えに出た、些か頭のとろい〈ドン〉は、当然のように、そっくりさんの市野庄介をボスのもとに案内した。一介のサラリーマン庄介に「殺し」が依頼されたのだ!
人まちがいが引き起すとんだ悲喜劇を描く表題作他、ユーモアミステリー7編を収録。》
収録作品=闇の足音/探偵物語/脱出順位/共同執筆/特別休日/高慢な死体/消えたフィルム/一日だけの殺し屋
四方田犬彦『リュミエールの閾―映画への漸進的欲望』朝日出版社・1980年
《この書物は私の第一冊目の映画論集で、一九七六年から四年のあいだに気紛れに書き続けたものに若干の加筆を与えて編まれた。日本のシネアストをめぐって書いた文章はゆえあって今回は除いた。》(「あとがき」より)
古井由吉『辻』新潮文庫・2014年
《父と子。男と女。人は日々の営みのなかで、あるとき辻に差しかかる。静かに狂っていく父親の背を見て。諍いの仲裁に入って死した夫が。やがて産まれてくる子も、また――。日常に漂う性と業の果て、破綻へと至る際で、小説は神話を変奏する。生と死、自我と時空、あらゆる境を飛び越えて、古井文学がたどり着いた、ひとつの極点。濃密にして甘美な十二の連作短篇。》
収録句集=辻/風/役/割符/受胎/草原/暖かい髭/林の声/雪明かり/半日の花/白い軒/始まり
塚本邦雄『青霜百首―大伴道子秀歌鑑賞』文化出版局・1986年
《大伴道子夫人の序数歌集9部から百首を精撰して、これに鑑賞の手引ともなるように短い解説文を添え、「青霜百首」と題した。「青」は生前夫人の愛された色相であり、また詩語とも思われる。すなわち歌集の小標題名にも「青露」「青炎」「群青」が『蕩漾の海』に見え、『真澄鏡』に至れば「青き無辺」まで極められている。それに何よりもまず、夫人の旧姓「青山」にちなみたいと願っての選択であった。また青は四方の中、東を象徴する色であり、朱夏・白秋・玄冬に対する常若の「青春」に他ならぬ。》(「BOOK」データベースより)
塚本邦雄『紺青のわかれ』中央公論社・1972年
《絢爛たる文体が綾なす呪われた”もの狂い”の諸相。ときには夕陽に鮮かな“孤独の宴”を恍惚と歌う――塚本邦雄最新小説集》
収録句集=蘭/月蝕/秋鶯囀/冥府燦爛/聖父哀傷図/紺青のわかれ/見よ眠れる船を/与邦国蚕は秋の贐/父さん鵞鳥嬉遊曲集/朝顔に我は飯食ふ男哉
井上光晴『荒廃の夏』集英社文庫・1980年
《死体処理を米軍に要請され精神錯乱に陥いる若い外科医。脱走した北朝鮮軍兵士をかくまう朝鮮人グループ。CICに逮捕される日共細胞の港湾労働者。特需景気を支える朝鮮戦争、軍事基地と化した佐世保港を背景に、緊迫した政治と革命の状況下にある五十年代日本の深部の荒廃を鮮やかな前衛的手法で剔出した長編。
解説・橋川文三》
井上ひさし『東京セブンローズ(上)』文春文庫・2002年
《戦局いよいよ見通しのない昭和二十年春。東京・根津の団扇屋主人の日記には意外なほど明るく、闊達な庶民の暮らしが細密に綴られる。物資も食糧も乏しい生活だからこそ笑いを求め、シャレを愛する戦時下の日本人。その姿は懐かしく、いとおしい。執筆じつに十七年。歳月と情熱をかたむけた井上文学の最高傑作、待望の文庫化。》
井上ひさし『東京セブンローズ(下)』文春文庫・2002年
《敗戦後、信介は恐るべき陰謀を知る。占領軍が「忌むべき過去」を断ち切るべく、日本語のローマ字化を図っているのだ。戦時下の日本人を支えたのは国家ではなく、「国のことば」ではなかったか。未曾有の危機に七人の名花・東京セブンローズが立ち向かう。国敗れて国語あり。末長く読みつがれる名編、堂々の完結。》
ウージェーヌ・シュー『さまよえるユダヤ人(上)』角川文庫・1951年
《かつてパリを沸騰させた新聞連載小説の世界的先駆。一八四四~一八四五年に連載され、新聞社の前には小説の筋の運びを待ちかねた愛読者の群れが押し寄せたという。五枚のメダルをめぐる雄大かつ複雑怪奇な波瀾万丈の物語。【全2冊】》
ウージェーヌ・シュー『さまよえるユダヤ人(下)』角川文庫・1952年
《かつてパリを沸騰させた新聞連載小説の世界的先駆。一八四四~一八四五年に連載され、新聞社の前には小説の筋の運びを待ちかねた愛読者の群れが押し寄せたという。五枚のメダルをめぐる雄大かつ複雑怪奇な波瀾万丈の物語。【全2冊】》
メアリ・シェリー『フランケンシュタイン』創元推理文庫・1984年
《11月も雨のわびしい夜、消えかかる蠟燭の薄明かりの下でそれは誕生した。解剖室などから各器官を寄せ集め、つぎはぎされた身体。血管や筋のひとつひとつが透けて見える黄色い皮膚。そして、茶色くうるんだ目。若き天才科学者フランケンシュタインが生命の真理を窮めて創りあげたもの、それがこの見るもおぞましい怪物だったとは! 無生物に生を与える実験の、しかしあまりに醜悪な結果に、彼はこの生き物を見捨てて逃げ去るのだが……。いくたの映画やドラマ、小説等を通じ、あまりに有名な不朽の名作。》
井上光晴『辺境』集英社文庫・1977年
《弟の遺言どおり遺骨を海に撒く男。姿を消した夫を捜して海辺の墓地造成工事の飯場に往みつく女。荒涼とした風景のなかに広まる夫の自殺の噂。流浪のはてに深層の闇を裂いてひびいてくる男と女の旋律。〈辺境〉から怒りをこめて現代日本の傷痕を鋭くあばく表題作他「菅牟田私刑」等六編を収録。 解説・高野斗志美》
収録作品=辺境/木村二等水兵の家/電車/菅牟田私刑/象海岸のひとで/安らいの場所/蕩児の帰棟
永井豪原作/永井泰宇『真・デビルマン1―悪魔復活編』ソノラマ文庫・1981年
《《明、太古の地球には先住人類デーモンがいた。彼等は異種生物と次々に合体することで強い力を身につけ、氷河期の万年氷の下でさえも生きのびた。そのデーモンが復活しはじめたのだ。明、我々の親はデーモンの謎を解くために、悪魔に肉体を売り渡して死んだ。そして、我々にデーモンと闘うたった一つの方法を残してくれたのだ》
飛鳥了の言葉に聞き入る不動明の胸に、懐かしい面影がよぎる。美樹! 許してくれ。俺はもう引き返すことができない。俺は、君の知っている不動明ではなくなるのだ。親父たちの残した恐怖の遺産を受けて、了とともに地獄へ堕ちるのだ……。
永井豪の不朽の名作漫画をもとに、新たに想を加えて書き下ろす「真・デビルマン」第1巻・悪魔復活編!》
永井豪原作/永井泰宇『真・デビルマン2―魔獣血闘編』ソノラマ文庫・1981年
《デーモンの中でも無敵と言われた勇者アモンと合体した悪魔人間明にデーモンの意識が甦る。かつてアモンが死力を尽くして闘い屠り去ってきたデーモンたちの憎悪の思念が、抑えきれぬ闘争本能が、明を揺すぶり責めたてる。しかもデーモンの魔手は美樹に、牧村家の人々に伸びてくる。デビルマンとしての明の苦悩が今、始まったのだ。
そんな明を遙か高空から密かに狙う影があった。その名は招魔の妖鳥シレーヌ。復讐のために美しかった肉体をも捨ててひたすらアモンを追い続けてきたシレーヌの、憎悪の一撃が明を襲う。峻険な山野を舞台に、デビルマンとシレーヌの凄絶な闘いの幕が切って落とされた! ――好評《真・デビルマン》シリーズ第2弾・魔獣血闘編!》
永井豪原作/永井泰宇『真・デビルマン3―魔王決戦編』ソノラマ文庫・1981年
《デーモンは、ついに総攻撃を開始した。双頭一身の悪魔王ルシフェルとディーテがその姿を現し、自ら人類に宣戦布告したのだ。デーモンの無差別合体攻撃、続いて襲いかかった想像を絶する姿形のデーモン軍団が、人々を恐怖と死と混乱の坩堝へたたき込んだ。
“デーモンに対して人類の兵器では太刀打ちできない。この日のためにおれは、人間であることを捨て、悪魔の肉体を手に入れたのだ”。了の制止をふりきって、ひとり死を賭してデーモン軍団と対決するデビルマン明。しかし、破滅の引き金は人類の内部に潜んでいた。一発のICBMが米本土から放たれ、一直線にソビエト目指して飛んで行く――。壮大なスケールで展開する《真・デビルマン》シリーズ第3弾・魔王血戦編!》
永井豪原作/永井泰宇『真・デビルマン4―逢魔偈呑編』ソノラマ文庫・1981年
《デーモン軍団の攻撃で廃墟と化した都市に、人類の狂気だけが燃えさかっていた。悪魔の正体は人間自身である――雷沼教授の誤った指摘は致命的なものだった。人が人を信じず、人が人を狩る時、人類の前にあるのは急速な自滅への道だけだった。猛威をふるう悪魔特捜隊に対抗してデビルマン軍団の結成を急ぐ明は、了の裏切りによって人々の憎悪の対象となっても、なお、人間・不動明であろうとした。愛する美樹のいるかぎり。だがその美樹も無残に殺された。絶望の咆哮をあげるデビルマン明は、この時、人類と訣別して真にデビルマンとなった。そして残されたものは、デーモンに対する、大魔神サターンに対する灼熱した怒りだけであった。――好評シリーズ《真・デビルマン》全4巻、堂々の完結!》
長野まゆみ『テレヴィジョン・シティ(上)』河出文庫・1996年
《パパとママが住むという《碧い惑星》を信じ、ビルディングからの脱出を夢みるアナナス人。美しいすみれ色の睛をもつ同室の少年イーイーは何者なのか? ビルディングの出口をもとめ、広大な迷路をひた走る二人が見たものは?》
長野まゆみ『テレヴィジョン・シティ(下)』河出文庫・1996年
《身体機能が衰えてゆくイーイー。崩壊へ突き進むビルディング。碧い星は本当にあるのか。ボディを離れたスピリットに《帰還》の場所はあるのか? 二人は果たして脱出できるのか? 壮大なスケールで描く巨篇・待望の文庫化!》
赤川次郎『死者の学園祭』角川文庫・1983年
《三人の女子高生は狂喜した。好奇心と冒険心の強い年頃の彼女達にとって、立入禁止の教室を黙って探検するのはたとえようもないスリルなのだ。だが、彼女達は気づかなかった。彼女達の背後の冷酷な視線に……。そして、一人一人彼女達はこの世から姿を消した―。
学園に忍びよる恐怖の影! 「絵と宝石」に隠された謎とは?
可愛らしく好奇心の旺盛な17歳の名探偵真知子を主人公に、学園の友情、愛、青春を描くサスペンスミステリー。》
赤川次郎『プロメテウスの乙女』角川文庫・1984年
《19XX年、日本は急速に右傾化の方向を辿り始めた。武器輸出解禁、秘密警察によるスパイ狩、徴兵制の準備等、声なき声は圧殺され、軍国主義一色となった。さらに時の総理滝の肝入りで、国を愛するうら若き乙女の軍団が組織され、庶民に対する弾圧粛清は厳しいものとなった。戒厳令下、反対勢力は、体内に爆弾を埋めた3人の女性テロリストを滝首相の許へ派遣するが……。来るべき時代の恐怖を描く、近未来サスペンス小説の傑作。》
井上光晴『書かれざる一章』集英社文庫・1978年
《これは民衆と人間の解放であるべき革命運動の内部の矛盾を、見て見ぬふりをしている人間にむけて書かれた一章である。現実との生きた接点を失い官僚化する組織のなかで、革命への純粋な情熱にもえる主人公は、個人と家族の生活が解体する危機に直面し苦闘する。「政治と文学」に新しい次元を拓いた表題作他四篇収録。
解説・佐木隆三》
収録作品=書かれざる一章/病める部分/重いS港/長靴島/トロッコと海鳥
フリッツ・ライバー『ビッグ・タイム』サンリオSF文庫・1978年(ヒューゴー賞)
《この宇宙の時間と空間、生と死の彼方で改良戦争(チェンジ・ウオー)と呼ばれる果てしない暗闘がつづけられている。この過去と未来が混在する大いなる時間(ビッグ・タイム)のなかで、あらゆる場所が融合した場所(プレイス)で、スパイダー軍とスネーク軍が戦うこの宇宙戦争に窮極の勝利などはない。この見えない闘いそのものがわれわれの宇宙の歴史の原動力なのだ。スパイダー軍のグレタは、この戦いに傷ついた戦士たちをなぐさめるエンターテイナーと呼ばれる看護婦である。死から再生された戦士たち……月世界人と半人半獣が原子爆弾の函を《場所》に侍ちこんだ。それをめぐる味方同志の対立、そして《場所》を制御するメインテナーの消失、やがて《場所》は漂流し、原子爆弾の爆発まで30分と迫る。宇宙戦争にとって平和とは? 真実の現在とは? 過去の改良は、未来をどう形成するか? 饒舌で眩惑的な文体を駆使し、壮大な歴史観を展開するプラスチック・タイム・オペラの傑作! 1958年度ヒューゴー賞受賞。》
筒井広志『オレの愛するアタシ』新潮社・1982年
《32歳の売れっ子作家(♂)と、24歳の美貌の作詞家(♀)二人の身体が、ある日突然、なぜか入れ換わってしまった。
お化粧の仕方は?下着のつけ方は? トイレの使い方は? そして、周囲に悟られずに生活を続ける方法は? ハチャメチャなやりとりに始まり、めでたき結婚、感動的な出産にいたるまでの、コミカルで、ちょっぴりポルノチックな、センチメンタル純情ストーリー。》
小林久三『黒衣の映画祭』講談社文庫・1978年
《映画人の夢であるニューヨーク映画祭への出品。その権利を賭けて二人の気鋭監督が競い、独立プロを持つ名島が勝利を得た。敗れた立木とは極西映画の同期生だった。映画祭開幕間近か、名島は突如ニューヨークから消えた。そして同じ頃、日本では立木が殺されていた! 著者得意の分野でトリックを築く意欲的長篇。》
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