『水の器』は水内慶太(1943 - )の第2句集。
著者は「月の匣」主宰、「銀化」同人。
ひたすらに砂漠を蟻が影運ぶ
風にはや雪の香(かざ)ありきりたんぽ
朝顔や鏡は眠り許されず
馬肥ゆる野の果てに母葬る日も
軍艦を見送る中の黒日傘
富士山
木や岩の耐へゐるかたち山開
西塔に東塔の影つばくら
小石川後楽園 二句 より
脳(なづき)より重たき図鑑拡げ夏
秋しぐれ多層民家の灯を濡らす
こころざしはるかになまこむつみゐる
こがらしや星斗は光したたらす
黒薔薇やギリシャ神話の畏ろしき
木流しの水尖り合ひ光りあひ
草の実や地層に積もる火の記憶
破れ樋氷柱を吐いてをりにけり
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。