『天地』は嶺岸さとし(1949 - )の第1句集。序文:中村孝史。
著者は「海原」同人。
孫が去り子去り飯舘木守柿
雪掻きや左右に別れゆく父子
蚕豆や筋肉というナルシシズム
朝時雨僧並ぶごとキウイフルーツ
男性看護師(ナースマン)天使と呼ばる石蕗の花
天空に紺の引力草の絮
初詣ホモサピエンスの後頭部
父の背は最初の他人蛇の衣
避難児の空席ひとつ冬日差す
映えるとは言わず春野の汚染土嚢
大根引折り残して子捨てたよう
明るく逝くための哲学冬青草
購えぬもの確とあり初山河
鳥帰るふくふくとセシウムを溜め
山笑う底の日溜まり婆ふたり
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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