岩片仁次編『高柳篤子作品集』は高柳篤子(1930 - )の作品集。詩、散文を含む。限定500部。「書信抄+解説風略伝」:岩片仁次、解説:林桂。
高柳篤子は編著者によると《本名は山本篤子、はじめは山本緋紗子と称し、ついで山本あつ子、高柳篤子。高柳重信と離婚後、広岡まり》。《本作品集収録の大部分は、高柳篤子期の稿である》とのこと。
香から蠅ひそと飛び言葉あり
ドングリ喰べて死んだふりする泪が出る
死ぬ真似すれば「お祭り」みたいに 乳房が痛む
机の下にもぐり込み全身の肌目にむらがる戀
両足の爪に顔を書きなんとなくにらみぬ
だんな様(尻尾はながいのです)苦しいのです
猫の尻尾は 鉛筆けずり 野原でまわせ 野原でまわせ
空から こぼれるネックレス あたしがさわると雨になる
ガラスなら百十八枚だな 實にかなしい あたしの體
僕 尻尾ほしいな 猫 山羊 雲の尻尾
えらい人のまわりはべたべたします・だからさようなら
恥かしい背中おじゃまよ全部で20人ですね
生れるまえ、ジュネーブで犬をしたり、モスクワで山羊もしてたの
殺すときは花火だとか映画、新しいサンダルよサンダルよ
鼻からハコベ、瞼に蝶々、ドロボーよ入っておくれ
※本書は版元より寄贈を受けました。記して感謝します。
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