『象の耳』は大森藍(1931 - )の第2句集。帯文:今井聖。
著者は「街」同人。
ビルの上の一片の虹地震走る
穴惑その夜バッハのカンタータ
漂白剤臭ふ三島由紀夫の忌
次姉二句 より
にこにこと海馬は縮む桃の花
東日本大震災
マグニチュード9その夜の美しき星の数
訃の電話置きたるあとの蜆汁
大川小学校二句 より
さくらさくら七十四名の子が並び
死者たちに一湾秋の無量光
ラジオよりヨイトマケの唄夏館
フェルメールの青を見てきて栗の飯
夏鶯夏うぐひすと姉衰ふ
大和七句 より
大和まほろば紅葉に溺れ仏たち
灯を消してよりの手と足沖縄忌
かなしみのなほ秋風の象の耳
繋がれて嗅ぎ合ふ馬や水の秋
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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