『ポケットに凍蝶』は河辺克美(1942 - )の第2句集。序に代えて:黒田杏子(句評の抄録)。
著者は「藍生」に創刊より参加。
押入れの冬の夜空へ抜ける道
少年とおぼろの部屋を巡りけり
ガラス窓しぐるる森にみつめられ
投票所鉛筆のHBの秋思
棄てられたる油絵二枚寒からう
すみずみまで晴れたり鯨に会ふ日
蛇跨ぐひかり跨ぎしやうな昼
病みたる金魚に万華鏡など見せむ
筆洗ひたる少年を月に帰す
臨終の手にぎる離す冴返る
春雪の空をひとりで逝けますか
一階の猫二階の猫や旱星
あいすこおひいかきまぜる腹立つてくる
散る花の音聴く夜を猫の逝く
初夢の通行人に夫登場
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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