『身体髪膚』は伊丹三樹彦(1920 - )の全句集(1992年11月)に「未完句集Ⅱ」として掲載されていたのを単行本化し
たもの。鑑賞:森洋彦。
著者は「青群」顧問。
ピアノリサイタル遂げ来し掌秘む白手套
廃ボイラー集積しまた妻孕ます
どこまでも若布干す波止 尾を巻く犬
げんげ田に自転車半没 あそび呆ける
ビュッフェ車のグラス交響 五月の旅
妻の髪にも 散紅葉乗る 告げずにいる
棺担ぎゆきての擦り傷 団地の階
懺悔いまさら ルルドの蝌蚪にも膝折って
火を焚く四五人 あれはわが家の解体材
鉦打って墓地独り占め 祭の裏
岸波に浮く死者のレイ 水牛食む
打水と鶏の刎ね首 跳んできた
巌頭に 鵜と生れしを考える
満月に 眼鏡外さぬまま眠る
足指を踊らす体操 寝待月
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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