『冬の旅、夏の夢』は高山れおな(1968 - )の第4句集。
著者は「豈」同人。
書影画像は奥付に「通常版とは別にアビコノコの手製本による布製の限定版(5種類、計44部、非売品)を刊行する」とあるうちの1部。
以下の抄出、前書きは略したり略さなかったり。
これがまあコンスタンティノポリスの夕焼なる
ボスポラス海峡
夏至の陽(ひ)に燦と欧亜を分かつ海
夕涼の坂児(こ)ら遊び我らまよふ
軍楽(メフテル)凄し割礼祝ふ夏の庭
燦然と雪張り付けて火口壁
富士火口なにもかも吸ふ夏のはて
北斎《喜能会之故真通》
恋すてふ蛸おほひ来る天高し
夜寒さのゲル打つ雨か星か知らず
露の野や糞(まり)落としあふ馬に乗り
牛・馬・羊・山羊・駱駝を五畜と呼ぶ
香(かざ)すさまじ五畜の肉を売るところ
《ホロフェルネスの首を斬るユディット》
永遠の凍雲として男女かな
奈良町に啼く恋猫よ女面鳥(ハーピー)よ
思考なき博識よけれ花のワルツ
はつなつの皿に映りて生き急ぐ
出歩いてハート撃ち抜かん業平忌
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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