『回帰』は川名将義(? - )の第3句集。跋文:別所真紀子。
著者は「銀化」同人、「解纜」会員。
蟬穴の奥で女の声がする
稲妻とわが妻ときに光り合ふ
いろいろの風をたのしみ蓮破れ
消えることばかり考へ春の虹
背くとき焚火もつともあたたかし
月光も涼しき夜具の一つなり
本の帯本に縋りし薄暑かな
親が子に絡んでゐたり鯉のぼり
男郎花やさしく男郎花に触れ
香水のほのかに傘寿なりし人
先頭が日傘を開きみな開く
骨盤で泳いで行けば身ごもりぬ
四散してまた舟虫になりにくる
さびしさに満ちてうれしき秋の暮
玄関の次に開けをり冷蔵庫
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。