『分度器』は井原美鳥(1949 - )の第1句集。序文:能村研三、栞文:相子智恵。
著者は「沖」同人。終刊まで「握手」同人。
プリズムの光全し秋の風
しはぶいて針穴遠くしたりけり
マンホールの蓋の花鳥図仏生会
なにがなし飯炊く義士の日でありぬ
けふの木の芽あすの木の芽と湧きにけり
一本に見ゆる煙突初景色
福藁や日は産土へ廻り来る
梟に和したくて吹く壜の口
夏休み嗚呼消しゴムの滓のなか
サラダ風索麵おとうとの事実婚
大いなる分度器鳥の渡りかな
動物病院枯野から引く電話線
釘打てば打てさうな空水澄めり
而して日当たる山がまづ笑ふ
硝子器のけふの水嵩ヒヤシンス
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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