2018年7月
ジャプラン
『夢の指紋』は稲元幽林(1941 - )の第1句集。
著者は「形象」会員。
雲映す水路に落葉カニの群れ
色も香も夢の続きで金木犀
死者の影虹をまといて渡ります
夕映えの棚田は大地の切り絵です
羽化の蝶居ずまい正し翔びたちぬ
化石にも夢の指紋はあるかしら
忘れるは悲しくうれしい寒椿
眼力の志功の女梅雨の花
かげろうをつかみそこねた猫昼寝
見返りのできぬ姿のやぶ椿
青空をすいこみたいと白モクレン
秋深しもののけうつついきかえり
やわやわの幸いに生えバラの棘
海霧やゆうべ見た夢そこかしこ
身にかぶる棘と闘う山椒の芽
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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