『三日月湖』は永瀬十悟(1953 - )の第2句集。
著者は「桔槹」同人。
逢ひに行く全村避難の地の桜
笑ひ声聞こえし頃の家朧
村はいま虹の輪の中誰も居ず
保育所に靴がそのまま秋桜
どこまでも更地どこまでもゆく神輿
届かねど稚児鹿舞(ちごししまひ)へ団扇風
一角に牡丹一角に瓦礫山
蛇穴を出る切れ長の眼なり
大なめくぢ這はせて橅(ぶな)は母なる木
雨あがる毛虫にやにや木もにやにや
水鉄砲顔を撃たれてより本気
灯台の光の届く鮟鱇鍋
初晴や鳥になる子の影法師
志望動機あれこれ夕焼美術室
マスクして面接までを耐へてをり
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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