『景色』は有住洋子(1948 - )の第2句集。
著者は「枻」同人、個人誌「白い部屋」発行。
水鳥のいつもとほくにゐるかたち
固く乾いた山焼の手と思ふ
菊坂の撓んでゐたり晩夏光
蛇の衣夢の覚めぎはきはだちて
盛装の人立つてゐる夏の果
八月の豆に砂糖が浸みてゆく
仏像の足先反つてゐる野分
秋燈の真下を拭いてをられたる
水うすくひろがつてゐる裸足かな
読初の扉に銅版画の婦人
碑のぼんやり並ぶさくらかな
方向をうしなふ梅雨の町を抜け
松どれもすこしかたぶく秋の蛇
長き夜の地下に異国の料理店
リア王の触れきしもののみな凍り
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。