『ドロップ缶』は中村ひろ子(1969 - )の第1句集。序文:鍵和田秞子。
著者は「未来図」同人。
よしず立て風は隣家の息遣ひ
悠々と大空を切り小鳥来る
聖樹飾る娘いつしか背伸びせず
小さき手でドロップ缶振る火の用心
冬枯の阿蘇の軽さを踏みしめて
出鱈目な歌高らかにプールの子
めがね男子群れて十月桜咲く
毛皮着て我が背猛々しくなりぬ
以下《熊本地震後初帰郷して 三句》から二句
抉られし山肌白く阿蘇は冬
雪しまく山の崩壊せしあとに
そつと手を繋ぎ見てをる寒紅梅
幾重にも笙篳篥や春の風
散水の小さき虹出す母となり
つぎはぎの紅白の幕盆踊
雨音に疲るることも諸葛菜
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
コメント
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