『水辺のスケッチ』は金山桜子(1959 - )の第1句集。序文:宇多喜代子。
著者は「花曜」「風来」「運河」他の会員。
翅光る蜂が雄蕊を探るとき
波音は小石打つ音つばくらめ
水鳥の抱き人形の声に似る
岸辺より寒気の寄するとんどかな
人形を舐むる仔猫の舌の音
春の雨骨片鹿のものかとも
逃水を桜並木の奥へ追ふ
はんざきのうち重なりて春の暮
玄室に青葉のひかりとどきたる
椎落葉ものの怪道といふところ
はんざきに魚寄り来てはひるがへる
銅鐸に線描の鳥稲の花
腫物のやうなる菌出てゐたり
葉を弾く音して飛蝗はねゐたり
寒鯉の崩るるやうに動きけり
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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